中間処理

産業廃棄物の中間処理とは?目的や5つの方法、最終処分との違いを解説

産業廃棄物の中間処理とは?目的や5つの方法、最終処分との違いを解説

事業活動で発生した産業廃棄物の処理を外部の業者に委託する際、「中間処理」という工程の具体的な内容を正確に把握しているでしょうか。中間処理は廃棄物処理の中核を担う工程であり、その目的や方法を理解しておくことが、適正な処理業者の選定にもつながります。今回は、産業廃棄物の中間処理の役割や主な方法、最終処分との違い、および処理の流れについて詳しく解説します。

産業廃棄物における中間処理が果たす役割

中間処理とは、収集・運搬されてきた産業廃棄物を、最終処分場へ搬出する前段階として処理する各種工程のことです。

破砕・焼却・脱水・選別などが代表的な手法であり、事業活動によって生じた廃棄物の多くは、そのまま最終処分場に持ち込まれることなく、まず中間処理施設を経由して適切な処置が施されます。

中間処理には大きく3つの役割があります。

減量化・減容化で最終処分場の負担を減らす

中間処理を行う最大の目的は、最終的に埋め立て処分される産業廃棄物の重量(減量化)と体積(減容化)を大幅に減らすことにあります。

産業廃棄物をすべてそのまま埋め立てた場合、限られた面積しかない最終処分場はあっという間に満杯になってしまいます。

そのため、燃やして灰にしたり細かく砕いたりして物理的な総量を減らし、最終処分場の逼迫問題の緩和を図ることが中間処理の重要な役割の一つです。

安定化・無害化で有害物質の流出を防ぐ

廃棄物の中には、腐敗しやすいものや感染性を持つもの、有害な物質が含まれているものが存在します。

中間処理を通じてこれらを熱分解したり、コンクリート等に封じ込めたりすることで、有害物質の飛散や流出を未然に防げます。

これにより、生活環境の保全と公衆衛生の向上に寄与し、最終処分を安全に行うことが可能となります。

再資源化(リサイクル)で廃棄物を資源として活用する

中間処理のもう一つの役割は、廃棄物の中から再利用可能な資源を選り分け、リサイクルできる状態にすることです。

環境省の令和5年度データによると、中間処理後の廃棄物の34.2%が再生利用されており、循環型社会の形成において中間処理は中核的役割を担っています。

出典:環境省「産業廃棄物の排出・処理状況等(令和5年度実績)」

中間処理と最終処分の違い

産業廃棄物の処理フローでは、中間処理と最終処分はそれぞれ明確な役割を持っています。両者の違いを正しく理解することが、廃棄物処理全体の流れを把握する第一歩となります。

中間処理の役割は「最終処分しやすい状態に変化させること」

中間処理は、排出された廃棄物をそのままにするのではなく、破砕・焼却・脱水・選別などの手段を用いて、廃棄物を安全化・安定化・減量化する作業です。

このプロセスを経ることで、後の最終処分にかかるコストや環境へのリスクを最小限に抑えるための下準備が行われます。

つまり中間処理は、最終処分をスムーズかつ安全に進めるための「前処理工程」といえます。

最終処分の役割は「行き場のない廃棄物の最終的な受け皿となること」

最終処分とは、中間処理で再生利用できず、これ以上減量できない状態になった残りの廃棄物を、内陸や海面の最終処分場に埋め立てる工程を指します。

また、路盤材やセメント原料などとして再び利用可能な形(有価物等)となり、法律上の「廃棄物」ではなくなる状態へ転換するリサイクルも、最終処分の一環に含まれます。

一方で中間処理は、この最終処分を完遂するための準備段階であるという点が最大の違いです。

産業廃棄物の中間処理の主な方法

産業廃棄物の中間処理には、廃棄物の種類や性状に合わせてさまざまな方法が用いられます。主な方法は下記の5つです。

選別

選別とは、混在している廃棄物を種類ごとに分ける作業です。中間処理施設に搬入される産業廃棄物には、廃プラスチックや金属、紙くず、がれき類などが混ざり合った「混合廃棄物」が少なくありません。

これらが混在したままでは適切な処理やリサイクルが難しいため、種類ごとに分別する工程が必要です。

選別方法には、磁力選別やアルミ選別、風力選別などの機械を用いる方法と、人の目と手で行う手選別があります。これらの工程を通じて廃棄物を種類ごとに分別し、再利用可能な資源を回収するとともに、最終処分される廃棄物の量を削減します。

破砕

破砕とは、コンクリート片(がれき類)、大型の廃プラスチック、木くずなどの体積が大きい廃棄物を、一軸破砕機や二軸破砕機、ハンマー式破砕機などを用いて細かく砕く処理です。

廃棄物の体積を減らすことで、最終処分場への運搬効率が向上します。また、焼却処理を行いやすくしたり、リサイクル可能な資源を取り出しやすくしたりするための前処理としても重要な役割を担っています。

焼却

焼却とは、可燃性の産業廃棄物をストーカ式やキルン式などの高温の焼却炉で燃やし、燃え殻(灰)にする処理です。

焼却によって廃棄物の重量や容積を大幅に削減できるほか、腐敗の防止や、医療系廃棄物などの感染性廃棄物を無害化する効果もあります。

また、焼却後に残った灰は埋立処分されるだけでなく、セメント原料などとして再資源化される場合もあります。

脱水

脱水とは、下水処理や工場などから排出される泥状の廃棄物(汚泥)に含まれる水分を、遠心脱水機や加圧脱水機などを用いて除去する処理です。

汚泥から水分を取り除くことで、重量や体積を大幅に削減できるため、運搬や最終処分の効率向上につながります。

また、処理コストの削減にも効果があり、脱水後の汚泥は堆肥などとして再資源化されたり、適切な処理を経て処分されたりします。

溶融

溶融とは、廃棄物や焼却によって生じた灰を1,200度以上の超高温で加熱してドロドロに溶かし、冷却してガラス質や結晶質の石・砂状に変化させる処理です。

超高温で処理することで有機物を完全に熱分解し、アスベストや重金属などの有害物質を冷却後の「溶融スラグ」の中に封じ込めて無害化・固定化できます。

安全な状態となったスラグは、道路の路盤材や土木建築資材としてリサイクルされ、資源循環に大きく貢献します。

【産業廃棄物】中間処理の流れ

産業廃棄物が中間処理施設に搬入されてから最終処分に至るまでの流れを、5つのプロセスに分けて解説します。

①計量

中間処理施設に搬入された産業廃棄物は、まずトラックスケール(大型計量器)などを用いてトラック1台ごとに正確な重量を測定されます。

産業廃棄物の処理費用は廃棄物の重量に基づいて算出されるのが一般的であるため、計量は処理料金を正確に算定するための重要な基準となります。

計量システムと連動させてデータを管理することで、処理の透明性と記録の正確性を確保します。

②受入検査

計量後は、法律で交付が義務付けられているマニフェスト(産業廃棄物管理票)の記載内容と、実際に搬入された廃棄物の種類や性状に相違がないかを確認する受入検査が行われます。

契約内容や許可されている受け入れ基準を満たしているか、また処理できない危険物や不適切な廃棄物が混入していないかを厳しくチェックすることで、施設での安全かつ適正な処理を担保します。

③選別

受入検査を通過した廃棄物は、大きさ・重さ・長さといった基準で大まかに分ける「粗選別」にかけられます。大きなものや重いものを事前に分けることで、その後の細かな作業効率が劇的に向上します。

さらに、人の目と手による「手選別」でより細かく分別し、再生利用可能な資源・可燃物・不燃物などに細密に仕分けます。こうした丁寧な選別工程を経ることで、混合廃棄物であっても効率的なリサイクルと適正処理を可能となります。

④焼却・圧縮

選別工程を経た後、それぞれの廃棄物に最も適した方法で処理が実行されます。

リサイクルが困難な可燃物や医療系廃棄物などは焼却炉で燃やされ、重量と容積を小さくすると同時に無害化が図られます。

一方、かさばりやすい廃プラスチック類や紙くずなどは、プレス機などの専用機械で1メートル角程度のブロック状に押し固める「圧縮」が行われます。これにより、その後の積み込みや最終処分場への運搬作業がスムーズになります。

⑤最終処分

焼却・破砕・選別などの中間処理が完了し、これ以上減量できない残渣(不燃物や焼却灰など)は、管理型最終処分場へ搬出されます。中間処理を経ることで埋立量は最小限に抑えられ、最終処分場の延命にもつながります。

また、廃棄物としての扱いを終える「リサイクル」も最終処分の一環であり、有価物として販売されたり代替燃料やセメントの原料などとして再利用されたりすることで、最終的な処理が完結します。

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