産業廃棄物の処理方法は5段階|委託する際に守るべきことも解説
産業廃棄物の処理は、法律に基づいた厳格な手順と責任が伴うものです。しかし、具体的にどのような流れで処理が進むのかを正確に把握できていないケースも少なくありません。今回は、分別・保管から最終処分まで、産業廃棄物処理の基本的な流れと、委託時に排出事業者が守るべき義務について解説します。
【基本】産業廃棄物を処理する際の流れ
産業廃棄物の処理は、排出事業者・収集運搬事業者・処分事業者が各自の役割を担いながら進みます。
ここでは、分別・保管から最終処分まで、処理の流れについて順を追って解説します。
1.分別・保管(排出事業者)
産業廃棄物の処理における排出事業者の最初のステップは、廃棄物の正しい分別です。廃棄物の種類を誤って分別してしまうと、法令違反に問われる可能性があるため、慎重な判断が求められます。
石膏ボード・木くず・廃プラスチック類など、廃棄物の種類ごとに細かく分類しなければならない点は特に注意が必要です。
やむを得ず混合廃棄物として排出する場合も、委託先の業者がその混合状態のまま適切に処理できる体制を整えているかどうかを事前に確認する必要があります。
また、分別の基準は都道府県によって異なるケースもあるため、自治体が定めるルールを必ず確認するようにしましょう。
分別が終わったら、次は排出場所での「適正保管」が必要になります。保管場所には囲いや掲示板を設け、他の物と混在しないよう管理しなければなりません。
廃棄物の漏洩や飛散を防ぐための措置も義務付けられています。保管中の管理記録を残し、定期的な状態確認を行うことで、環境への悪影響や近隣トラブルを未然に防ぎましょう。
2.収集・運搬(収集・運搬事業者)
収集・運搬業者は、排出事業者から廃棄物を受け取り、許可を取得した中間処理施設や最終処分場まで安全に運搬する役割を担います。
運搬中の飛散や漏洩を防ぐため、密閉容器や専用車両の使用が求められており、積載量の管理や車両の清掃など、安全かつ衛生的な運搬体制の維持が必要です。
排出事業者には、委託する収集運搬業者が適切な許可を保有しているかを厳格に確認する責務があります。
委託後も、運搬車両への表示義務(会社名・許可番号など)が遵守されているか、マニフェスト(産業廃棄物管理票)制度が適切に運用されているか確認することが大切です。
運搬の前後にはマニフェストの記入と確認が義務付けられており、廃棄物の追跡管理において重要な役割を果たします。
運搬の途中で積替えを行う場合は、「積替え保管」の許可が別途必要になります。
許可を受けていない場所での積替えや一時保管は廃棄物処理法違反となるおそれがあり、積替え施設では保管場所の構造や設備について厳格な基準が定められています。例えば、コンクリート床や囲い、表示板の設置などが義務付けられています。
排出事業者としては、収集・運搬業者が積替え保管の許可を取得しているかを事前に確認し、リスク回避をしましょう。
3.中間処理(処分事業者)
中間処理とは、廃棄物をそのまま最終処分するのではなく、リサイクルや最終処分がしやすい状態に変えるための処理工程です。産業廃棄物を検査した上で、性質を変化させたり、量を減らしたり、安定した状態にする加工が施されます。
具体的な中間処理の手法は、以下の通りです。
・破砕:廃棄物を細かく砕く
・焼却:燃やして減容化する
・脱水:水分を取り除く
・無害化:有害物質を除く
・安定化:酸性・アルカリ性廃液を中和する
・選別:より細かい種類に仕分ける
例えば、廃プラスチック類は破砕後にリサイクル工程へ、汚泥は脱水によって含水率を下げてから次の処理へと引き継がれます。
中間処理を適切に行うことで最終処分場への廃棄物搬入量を大幅に削減でき、環境負荷の低減にも直結します。処理後は次工程へ引き継がれるため、この段階での品質管理と安全管理は非常に重要です。
4.リサイクル(処分事業者)
産業廃棄物の中には、適切な処理を施すことで再資源化が可能なものが多く含まれています。リサイクル処理を行う事業者は、廃棄物の分類や品質を見極めながら、再利用できる形へと変換します。
リサイクルの方法は大きく3種類に分けられます。
・マテリアルリサイクル:廃棄物の元々の性質を活かして別製品の原材料とする
・ケミカルリサイクル:化学的に分解して化学工業原料として再利用する
・サーマルリサイクル:廃棄物を燃料化して熱エネルギーとして活用する
具体的には、金属くずを溶解して新たな製品原料に再生したり、木くずをチップ化してバイオマス燃料や堆肥として利用したりする例があげられます。
排出事業者としても、廃棄物を可能な限り資源として活用する意識が重要です。排出の時点での丁寧な分別が、効率的な資源再利用につながります。
産業廃棄物のリサイクルはSDGsへの対応としても注目されており、企業の環境貢献を示す取り組みとしても意義があります。
5.最終処理(処分事業者)
中間処理やリサイクルでは対応しきれない産業廃棄物は、最終処分場での埋立処理によって処分されます。
ただし、最終処分が可能な土地には限りがあり、新たな処分場の開設も容易ではありません。
そのため、廃棄物の発生量そのものを抑える取り組みや、中間処理・リサイクルを通じて最終処分が必要な量を極力減らしていくことが社会全体として求められています。
最終処分場は廃棄物の種類や性質に応じて「安定型」「管理型」「遮断型」の3種類に区分されており、それぞれに厳格な管理体制が整備されています。
安定型最終処分場
安定型最終処分場は、「廃プラスチック類」「がれき類」「ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず」「金属くず」「ゴムくず」といった、水に溶けず環境への影響が少ない「安定5品目」と呼ばれる廃棄物を埋め立てるための処分場です。
浸出水による汚染リスクが低いため、遮水設備などの設置義務が管理型に比べて限定的です。ただし、有害物質の混入がないかどうかについては引き続き厳格な確認が必要です。
管理型最終処分場
管理型最終処分場は、汚泥・廃油・廃酸・廃アルカリ・燃え殻・ばいじんなど、水分や有害成分を含む可能性がある廃棄物を処分するための施設です。
雨水や地下水への汚染を防ぐため、遮水シートや浸出水処理装置などの設備が整備されており、埋立後も長期間にわたって水質などの環境モニタリングが続けられます。
遮断型最終処分場
遮断型最終処分場は、有害物質を高濃度で含む廃棄物を処分するための施設で、3種類の中でもっとも厳格な管理体制が求められます。
外部の大気や地下水と完全に遮断した構造をもち、処分した廃棄物が外部環境に一切流出しないよう設計されています。
特定有害産業廃棄物など、他の処分場では受け入れられない危険性の高い廃棄物が対象となります。
産業廃棄物処分を委託する上で守るべきこと
産業廃棄物の処分を外部業者に委託する際は、排出事業者としても守るべきルールが複数存在します。法令を正しく理解した上で適切に対応しなければ、罰則の対象となるリスクもあります。ここでは、委託にあたって特に押さえておくべき事項を解説します。
許可を受けている事業者に委託する
収集・運搬業者や処分業者はそれぞれ、都道府県知事または政令指定都市の長から許可を受けて事業を行っています。
排出事業者には、適切な許可を保有する業者にのみ委託する義務があります。これは廃棄物の適正処理を確保し、不法投棄や環境汚染を防ぐための重要な仕組みです。
許可を取得した事業者を選ぶ際は、以下の観点から慎重に判断することが大切です。
信頼性・評判
過去の実績や第三者評価、取引先からの評判などを確認することが大切です。法令を遵守した適正処理を継続して行っている事業者かどうかを見極めましょう。
具体的なサービス内容
対応できる廃棄物の種類・処理方法・対応エリアなどを事前に確認し、自社の廃棄物に対して適切な処理が行える業者かどうかを確かめましょう。
中間処理・収集運搬・最終処分まで一貫して対応できる業者であれば、複数業者の調整が不要となり管理負担が軽減されます。
費用
見積もり内容を複数の業者と比較し、費用の内訳が明確かどうかを確認しましょう。極端に安価な業者は、不適切な処理や不法投棄のリスクが潜んでいる場合もあります。コストだけでなく、適正処理の実態を総合的に判断することが重要です。
ニーズに対する対応力
急な依頼や特殊な廃棄物への柔軟な対応ができるか、担当者のレスポンスが迅速かどうかなど、実務的な対応力も確認しておきましょう。
廃棄物の発生状況は現場によって変動するため、柔軟に動ける業者を選ぶことで、予期せぬトラブルにも対処しやすくなります。
環境への配慮
リサイクル率の高さや廃棄物の資源化への取り組み姿勢なども、業者選びの重要な判断材料です。
環境への配慮を積極的に行っている業者への委託は、排出事業者としての社会的責任を果たすことにもつながります。
産業廃棄物業務委託契約書を結ぶ
産業廃棄物の収集から最終処分に至るまでの一連の工程は、外部業者への委託が一般的です。委託する際には、委託先との間で産業廃棄物処理委託契約書の締結が義務付けられています。
契約書の内容を十分に理解しないまま締結し、業者の処分能力や許可の事業範囲を超えた処理を依頼してしまった場合、排出事業者も罰金や懲役といった罰則の対象となるおそれがあります。
契約内容は事前に丁寧に確認し、不明点は必ず業者に問い合わせた上で締結しましょう。
また、排出事業者は委託する廃棄物の適正処理のため、廃棄物の性状や取り扱い上の注意事項などの情報を処理業者に提供しなければなりません。
こうした情報を記載して業者に提供するためのツールとして、環境省が作成した廃棄物データシート(WDS)があり、作成が推奨されています。自社の廃棄物について正確に情報共有することが、安全で適正な処理の実現につながります。
マニフェストを発行する
産業廃棄物の排出から最終処分に至るまでの流れを管理するため、マニフェスト制度が法律で厳格に定められています。
排出事業者はこの制度に基づき、廃棄物の種類・処分方法・運搬業者・処分業者などの情報を正確に記録し、関係者間でその内容を確認・回付することが義務付けられています。
マニフェストへの虚偽記載や交付義務・保存義務を怠ることは、廃棄物処理法第27条の2に違反する行為に当たります。違反した場合は1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科されます。
そのため、組織として適切な管理体制を整えることが不可欠です。
マニフェストの発行が不要となるケースについては、以下の記事も合わせてご確認ください。
「産業廃棄物の処理でマニフェストが不要なケースとは?注意点も解説」
産業廃棄物は適正な方法に則って処分しましょう!
産業廃棄物の処理は、分別・保管・収集運搬・中間処理・リサイクル・最終処分という一連の流れの中で、各事業者がそれぞれの役割を正確に果たすことで成立します。排出事業者としては、許可業者への適切な委託、契約書の締結、マニフェストの発行を確実に実行することが法令遵守の基本です。
東海環境では、廃棄物の適正処理を徹底するとともに、汚泥・廃プラスチック・紙くず・木くず・繊維くず・ゴムくず・金属くず・ガラスくず・がれき類の9品目について産業廃棄物処理許可を取得しています。
複数の種類が混ざった「混合廃棄物」であっても、依頼者側での分別は不要でそのまま受け入れが可能です。
また、当社で対応できない廃棄物についても、グループ拠点で回収できる場合がありますので、まずはお気軽にお問い合わせください。